学部長メッセージ

経済学部長 中村 慎助

経済学部は、日々変化する社会をとらえる知性を磨くことを、教育の大きな目的としています。

現代世界は、常に変化しつづけていますが、その変化の根底にあるのは経済の動きです。それ故、状況の推移を的確にとらえ、私たちが職業人としても家庭人としても適切な対処をして行くためには、経済学は、最も有効な学問の一つです。また、その点が、同じ社会科学でも、既成の制度を学ぶことを目的とする法律学などと大きく異なる点であるとも言えます。

それでは、そのような知性を磨くにはどうすれば良いのでしょうか。もちろん、経済理論であれ、経済の歴史であれ、実態経済であれ、まずは、それらを既成の知識として習得しなければなりません。しかし、既成の知識は、すぐに時代の変化の後に置き去りにされてしまいます。むしろ、私たちが大切にしているのは、単なる知識の習得に止まらず、その背後にある考え方を身に付けてもらうことです。全員に卒業論文の執筆を課しているのも、それぞれに課題に取り組む中から、考える力を養うことこそが重要と考えているからに他なりません。

また同時に、外国語や人文科学や自然科学などを学び、広い教養を備えることも、社会や人間に対する柔軟な感性を磨く上で、極めて重要です。そのような感性を伴わない経済学は、人間を欠いた机上の空論になりかねません。

このような課程を通して、経済学部が期待していることは、一生の財産となる知性というスキルを、経済学を通して身に付けてもらうことです。

商学部長 榊原 研互

慶應義塾大学の通信教育課程に「商学部」は存在しません。代わりに、通信教育課程の「経済学部」を通学課程の経済学部と商学部が共同で運営しています。もともと2つは同じ学部でしたが、1957年に経済学部の中の商学分野が独立する形で商学部が誕生しました。ですから、経営学・会計学・商業学といった商学部独自の分野については、商学部の教員が皆さんの指導にあたっています。

通信教育課程では、実社会で仕事をしている人、あるいは働いた経験のある人が多く学んでいます。実務を通して、すでに経営や会計、マーケティングについての知識を身につけている人も少なくないでしょう。そうした人たちにとって、商学部独自の分野はとても身近に感じられるでしょうし、中にはこれらの学問に実務と直結する役立つ知識を期待している人がいるかもしれません。

しかし、福澤諭吉の唱える「実学」としての商学は、実践にすぐに役立つ学問という意味ではありません。むしろそれが目指しているのは、理論と実証に基づいた現実の科学的な解明です。科学の目的は「なぜ」という問いかけに満足いく答を見出すことです。それはものごとの道理や理屈を究めるということに他なりません。

道理を知ることで、私たちの日頃の経験はより洗練された知識へと深められます。それと同時に、私たちはもっと広い視野で世界を眺めることができるようになります。ここに学問することの面白さと楽しさがあります。

学問することで、少しでも世界を広げようではありませんか。