熊本県「相良家文書」

相良家は、肥後国球磨郡一帯を約700年にわたって支配した武家である。鎌倉時代初頭に人吉庄の地頭職に任ぜられて以来、当地に土着して南北朝時代から戦国時代にかけての戦乱を切り抜け、江戸時代には人吉藩2万2000石の大名となって明治時代の廃藩置県に至った。当家に代々伝えられた古文書は「相良家文書」と呼ばれ、代々相良氏に宛てられた諸家からの手紙や、朝廷、幕府からの命令書、また相良氏より諸方面に出された手紙類の下書き等で、封建社会の政治・経済・文化の推移を知るための貴重な史料となっている。また、保存状態が良く、一貫性があるため、古文書学の立場からも高く評価されており、「島津家文書」「上杉家文書」とならぶ代表的な武家文書である。慶應義塾では、ぜひ入手したいと考えたが、縁もゆかりも薄く、実証史学の伝統が評価されたのか、受入が決定した時には文学部史学科(当時)の担当教員は、熊本に恨まれるのではないかと心配すらしたという。
相良家の伝来文書のうち、天文年間以降の近世文書約2,000点は熊本県立図書館の、約200点は広島大学の所蔵だが、一般に「相良家文書」といえば、中世文書を中心とした慶應義塾図書館所蔵のもの約1,400点を指し、昭和52(1977)年には重要文化財に指定されている。
なお、相良家の委嘱を受け、現在熊本県立図書館が所蔵している「相良家史料」近世文書類の整理を担当した渋谷季五郎は、明治24(1891)年に慶應義塾を卒業した。昭和4(1929)年から9年にかけて文書の整理を行っていた。

参考文献
慶應義塾大学メディアセンターWebサイト
慶應義塾大学文学部古文書室Webサイト

源頼朝善光寺参詣随兵日記

戦国大名が領地支配のために制定した
法律である分国法のひとつ。