愛知県「春日井事件」

春日井事件とは、地租改正時に地価の査定をめぐって、愛知県春日井郡(現同県春日井市)の東部西部間で決定手続きに粗密があり、それに対する不公平感から生じた争いである。愛知県第三大区長であった林金兵衛(文政8(1825)年生まれ)は、農民代表として役人の官僚主義と激高する農民の間で尽力した。交渉が難航したため、明治11(1878)年に地元43カ村代表として上京する。地租改正事務局(当時の事務局総裁は大隈重信)に地価査定見直しを幾度も嘆願した際に、伝手を頼って福澤諭吉に助力を求めた。
福澤は幅広い人脈を通じて懇切に援助したが、春日井事件が決着したのは、旧尾張藩主徳川慶勝の下賜金と県当局の地価改訂の約束とをもって妥協が成立した明治12年2月のことであった。事件後、林は東春日井郡長に就任。福澤立案のもと、事件で疲弊した村を再建するため、『倹約示談』を作成し、倹約の方法や意義について諭した。

『福沢諭吉書簡集』第2巻/『福澤諭吉事典』/『福澤研究センター通信』第3号(2005年9月30日)

林金兵衛肖像写真(『贈従五位林金兵衛翁』より)

林金兵衛宛福澤諭吉書簡
明治13(1880)年3月6日付

【新設の東春日井郡長としての
責務や地価について述べる】