塾長からのメッセージ

慶應義塾長 伊藤 公平

塾長 伊藤 公平

慶應義塾の教育の精神を伝える言葉はいくつもありますが、そのなかの一つに半学半教というものがあります。教えつつ学び、また学びつつ教えるというのが、その本来の語義になります。

慶應義塾創始者の福澤諭吉は、緒方洪庵が開いた適塾に二十歳で入門し、そこでは教える側も学ぶ側も一緒に切磋琢磨することの大切さを経験しました。その考え方を慶應義塾に発展させたところに、科学や学問の前には教師もなく門弟もなく、といった福澤の精神を見る思いがいたします。

慶應義塾における通信教育は戦後すぐの1948年に発足し、実に三四半世紀におよぶ長い歴史を有しております。そして慶應義塾の通信教育にも、さきに述べたような半学半教の精神が生き生きと働いています。

2020年春に始まったコロナ禍は、教育にも大きな影響を与えざるをえませんでした。オンライン教育の普及がそれです。みなさんもご存じのように、通信教育部においては、西脇与作通信教育部長のときにE-Learningという名において、すでにオンライン教育が導入され、現在に至っております。私が所属する理工学部物理情報工学科においても、2011年にはオンライン教育の意義を認め、同時に、そのころはお遊び動画の投稿先と揶揄されたYouTubeにおいてKeio YouTubeチャネルを開設し、学科の講義を次々と公開するようになりました。これらはいずれも「いつでもどこでも勉強できる」というオンライン教育の重要性に鑑みた試みです。これから、通学課程においてオンライン教育の意義を議論する場合にも、通信教育における先駆的ともいえるオンライン授業の展開はおおいに参考になる点を持っています。

コロナ禍によって大学での教育のあり方が根本から問われるようになり、海外の有名大学もリモートで学位がとれる制度を次々と整えています。その先駆けが慶應義塾の通信教育課程です。さまざまな制約によって通信教育課程を選んだというこれまでから、率先して通信教育課程を選ぶというこれからに向けて努力いたします。通信教育課程で学ぶ皆さまに心から敬意を表し、私のご挨拶とさせていただきます。

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