教員メッセージ
法学部
佐藤 拓磨Takuma Sato
法学部
教授
専門分野:刑法学
私の専門分野は、刑法学です。刑法とは、犯罪と刑罰に関する法律のことをいいます。主として、どのような条件がそろったときに犯罪の成立が認められるかについての理論的研究をするのが、刑法学の役割です。社会の安全を守るためには刑罰を用いて犯罪を防圧する必要があります。他方で、国家による刑罰の濫用を防ぎ、市民の自由を守る必要もあります。この両者のバランスをどうはかるのかが、刑法学の課題です。
私は、元々、犯罪を行おうとしたが失敗した場合(犯罪の未遂)について、なぜ処罰することができるのかという問題に関する理論研究を行ってきました。最近では、この研究によって得た知見を活かし、特殊詐欺をめぐる刑法上の諸問題の研究に取り組んでいます。特殊詐欺とは、オレオレ詐欺や還付金詐欺など最近社会問題化している詐欺の形態の総称です。特殊詐欺は失敗に終わることも多いため、どの範囲まで処罰可能かが捜査の現場や刑事裁判で大きな問題になっているのです。
このほか、他大学の研究者と連携しつつ、犯罪者が犯罪から得た利益を剥奪するための制度に関する調査研究も進めています。
志願者の方へ
通信教育課程への入学を検討されている方の中には、豊富な社会経験をお持ちの方が多いと思います。日本は法治国家ですから、法律を扱う職業でなくとも、これまでの社会生活の中で様々な法的問題に直面されたご経験があるのではないでしょうか。法学は、具体的な適用場面をイメージできないと学ぶのが辛い学問です(現に、通学課程の1年生の中には法学を学ぶ意味を理解できずに苦しむ者が少なくありません)。しかし、イメージできると、法学説や判例がどのように利害関係者間の利害調整をはかろうとしているのかがわかり、「役に立つ」という実感を得ながら学ぶことができます。卒業へのハードルは決して低くはありませんが、挑戦する価値はあります。
プロフィール
職名: 法学部 教授
専門分野: 刑法学
経歴
2000年 慶應義塾大学法学部卒
2006年~2010年 同学部専任講師
2010年~2016年 同学部准教授
2016年 現職。博士学位取得。
- 『未遂犯と実行の着手』(慶應義塾大学出版会、2016年)
- 「<ケーススタディで考える特殊詐欺> 未遂・承継的共同正犯」法学セミナー779号(2019年)10頁以下
- 「実行の着手、早すぎた構成要件実現」法学教室471号(2019年)91頁以下