経済学部

経済現象の
体系的な理解をめざす

経済学部のご紹介

昭和23年(1948年)、慶應義塾大学に通信教育部が設置されると同時に、そのコースの一つとして経済学部の通信教育課程が置かれ、すでに60年を超える歴史をもちます。経済学部は、通信教育課程においては、商学部系のカリキュラムも組み込まれていることに特色があります。この分野は商学部の教員が担当しており、その意味では、通学課程よりも幅の広い教育を受けられます。

通学課程の経済学部は明治23年(1890年)に「理財科」の名で発足したもので、福澤諭吉と義塾の「実学」の精神と理念とを具体化する教育の一環を成すこととなりました。わが国における経済学教育および研究史上、これは画期的なことでした。
福澤が経済学を慶應義塾の教育のなかで重視したことは、上野での彰義隊の戦のさなか、砲声をものともせず、Francis Waylandの「The Elements of Political Economy」を講義していたところをみても明らかなことです。慶應義塾における経済学研究および教育の特質は、実際この一事の中によく表わされているといえます。
すなわち、新しい時代の個人を支える客観的社会認識の学問としての経済学を、目先の時流に流されずに学ぶ、ということだったのです。経済学部のリベラルな学風は、こうした先人の努力の上に積み重ねられてきたものです。

大正9年(1920年)、理財科は経済学部に改称され、その後、昭和32年(1957年)に商学部の設置をみましたが、以来今日まで慶應義塾を代表する学部として、幾多のすぐれた学問的業績を生み、またわが国の経済界へ多くのすぐれた人材を送り出してきました。
しかし、経済学は時代の学問でもあり、今日われわれはただ福澤以来の「伝統」に甘んじているわけではありません。経済学部・商学部は、つねに時代の学問的要請をとらえ、それを消化し、体系化する努力を通して開塾以来の伝統のたえざる前進を目指しています。

先にもふれましたが、通信教育課程の経済学部は、大きく分ければ経済学系と商学系のカリキュラムを用意しています。これらは、一方が理論、他方が応用という区別ではなく、経済学の対象分野を二分したものにすぎません。
しかしあえていえば、経済学系が人間の経済行動を広く総合的にみるのに対して、商学系は、個人や企業の合理的経済行動に関した問題を主に扱うといってよいでしょう。もっとも、各々が両方の性格をかねそなえているのが現実ですから、ここでの区分は、一応のものにすぎないことを理解しておいてください。

経済学部に設置されている各コースは、いずれも経済現象の理論的分析と実証的分析への基本的視点を提供するものとなっています。また、経済現象は日々動いているものであり、流れをなしてわれわれの生活をまきこんでいるものですから、経済現象を歴史的に把えることも、経済学を学ぶものの知性として無視してはなりません。
実証的に現象に深入りしながら、同時にその現象を歴史上に位置づけて俯瞰的にながめてみることは、分析対象との間の緊張を保持するために不可欠の条件となります。

きびしい論理性と共に、経済現象へのヒューマンな接近にも、これまで以上に留意していなければなりません。そのためには、経済学部に設置されている科目以外の広い範囲の知の領野に臆することなく目を向けることも必要です。現代の経済学は、その範囲をますます広げつつあり、このような広い教養は、経済学を生きた学問として維持する原動力ともなります。

今日の経済学を真に学ぶことは、並大抵のことではありません。また、みなさんの個々の実生活に直ちに役立つようなものはあまりないかもしれません。しかし経済学は、社会に日々生起する複雑で錯綜した現象を、整理し、総合し、社会を考える、もっとも有効な鍵を示すことができる学問と言ってよいでしょう。

※出願にあたって

通学課程では、経済学部と商学部がそれぞれ独立していますが、通信教育課程にあっては、経済学部の中で商学部系の科目が履修できるようになっています。
専門教育科目は必修科目と選択科目に分かれ、広い分野にわたって科目を履修することになります。
商学部系の科目は、商学部の教員が指導にあたり、その系統の上に卒業論文のテーマを選べば、論文指導にも商学部の教員があたることになります。

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