教員メッセージ
テキスト科目

本科目は、日本史全般に関する基礎的な知識を修得し、通時代的な歴史像を育むことを目標としています。日本列島の人々が原始・古代から中世、近世、近現代へと時代が移り変わる中で、様々な経験を重ねつつ生きてきたことを、テキストの記述に即して学びます。各時代の特色を踏まえ、日本史全体の流れの把握に努めることが重要となります。日本史全体の流れというと、各時代の政権や為政者らの動向がイメージされるかもしれません。しかし、日本史はそれだけに収斂しない豊かな広がりをもっており、政治・経済・宗教・文化といった人々の営みを多角的に捉えることが可能です。本科目では、私たちが住んでいる個別の地域の歴史と向き合い、それを日本史全体と関連づけて考察することも重視しています。学修を通じて、他の科目にも活かされる基礎的な知見が得られるはずです。なお、本科目は社会科(中学校)・地理歴史科(高等学校)と関連する教職課程開講科目にもなっています。

- 著書
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- 『日本近世史入門――ようこそ研究の世界へ!』(共編著)(勉誠社、2024年)
- 『日本近世史を見通す6 宗教・思想・文化』(共編著)(吉川弘文館、2023年)
- 『論点・日本史学』(共著)(ミネルヴァ書房、2022年)
スクーリング科目

竜宮を訪れた浦島太郎や絶世の美女として知られる小野小町など、現代でも馴染みのある昔話や歴史上の人物について、中世の物語絵ではどのように描かれていたのでしょうか。私の担当する「国文学」では、14世紀から17世紀にかけて作られた短編の物語群であるお伽草子(室町物語)を読み解きます。そこでは貴公子や姫君はもちろん、武士や庶民、神仏や異類にいたるまで、物語の主人公となって、都だけでなく、地方や外国、竜宮や地獄でも生き生きとした活躍を見せます。素朴な絵本や豪華な絵巻にも仕立てられたお伽草子には、中世の人々を支えた信仰や思想が読み取れるだけでなく、現代アニメとも共通する物語絵の趣向を見出すこともできるのです。スクーリングでは、1日2回の講義で一つの作品をじっくりと味わいます。講義ごとに提出してもらったコメントを適宜紹介し、履修生の皆さんと疑問や感想を共有しながら理解が深められるのも、本講義の特徴です。

- 著書
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- 『仏と女の室町 物語草子論』笠間書院、2008年)
- 『異界へいざなう女 絵巻・奈良絵本をひもとく』(平凡社、2017年)
- 「『常盤の嫗』の享受圏―嫁入り本としての意義―」(『日本文学研究ジャーナル』30号、2024年6月)
私が専攻している学問分野は文化人類学とアフリカ地域研究です。文学部での調査研究というと、椅子に座って本を読みふける姿を思い浮かべるかもしれません。もちろん、人類学者も多くの文献を手に取ります。それと同時に、フィールドワークという作業が人類学的な営みの根幹を成しています。つまり、人々が実際に生活する現場へ調査者が赴いて、その場に生きる人びとの行動を観察したり、彼らへ聞き取り調査をしたりするのです。「住民の視点」を出発点に世界で生起する諸現象を読み解いていくことが、人類学者のおもな仕事です。
私が研究対象としてきたのはアフリカの諸社会です。アフリカというと貧困と紛争のイメージが強いかもしれませんが、今世紀に入ってからは多くの国で経済が成長し、若者が多数を占める社会は活気に満ちています。都市部では中間層向けのおしゃれな店が次々と開店する一方で、農村部では急速な開発事業が人びとのくらしに様々なひずみをもたらしてもいます。
「21世紀はアフリカの時代」といわれます。実際、2100年には世界人口の約40%を「アフリカ人」が占めることになるかもしれません。急速な変化の只中にあるアフリカ社会の姿を現場で観察しながら、来たるべき「アフリカの時代」のありようを考える研究生活を送っています。

- 経歴
- 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。同研究科助教、慶應義塾大学文学部助教などを経て現職
- 著書
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- 『よくわかる哲学・思想』(共著)(ミネルヴァ書房、2019年)、「生物学の哲学入門」(共著)(勁草書房、2016年)
- 『モラル・サイコロジー―心と行動から探る倫理学』(共著)(春秋社、2016 年)
- 『進化の弟子―ヒトは学んで人になった』(共訳)(勁草書房、2013年)
- 『入門 科学哲学―論文とディスカッション』(共著)(慶應義塾大学出版会、2013年)