学部長からのメッセージ

経済学部長 駒形 哲哉

経済学部長 駒形 哲哉

現代世界は常に変化し続けています。その変化を規定しているのは究極的には経済の論理であるといってよいと思います。経済は、モノやサービス、情報の生産、おカネとの交換、消費といった活動から成り立っています。経済活動によって富が生み出され、社会は豊かになってきましたが、その豊かさの陰では様々な問題も引き起こされてきました。

「経済学部で学ぶ」というと、マクロ経済の勉強をまず想起する方がいるかもしれません。制度や政策が経済に与える影響が大きいことは事実です。しかし、経済の基礎は企業活動です。人、カネ、モノを組み合わせて互いに競争する企業の経営活動こそ、富の創造のエンジンです。競争に生き残るための企業の努力は、他方で様々な矛盾を引き起こす源にもなっています。

このように考えてみると、通信教育課程の経済学部が、通学課程の経済学部と商学部の両方のカリキュラムを備えていることは、経済を学ぶ上で大きなアドバンテージとなっていることに気付くでしょう。

地域や国、世界の経済の変化が主に企業活動によって生み出されているとすれば、経済を分析するのに、企業の内部のあり方をブラックボックスにしたままでは不十分です。逆に、企業の内部のあり方や経営の意思決定を考察するにあたっては、地域や国、世界の経済の全体像を把握し、制度・政策を理解する作業がやはり不可欠です。

経済学と商学との境界がなく学べることは、このような意味で、経済の学びを志す皆さんにとって大変重要な意味をもっています。

さらに言えば、私たちが本当に提供したいのは、経済学や商学の専門知識ということを超えた、人間に関する学問です。自然と人との関わり、人と人とのコミュニケーションを可能にする言語、人がその内面を表現して創造してきた思想・文化・芸術等、幅広い教養や素養を身に付けることで、経済学や商学の専門的学習はより一層実りあるものとなります。

通信教育課程経済学部の提供するカリキュラムを活用して、専門性を備えた豊かな教養人を目指していただければと思います。

商学部長 牛島利明

商学部長 牛島利明

慶應義塾大学の通信教育課程に「商学部」は存在しません。代わりに、通信教育課程の「経済学部」を通学課程の経済学部と商学部が共同で運営しています。もともと2つは同じ学部でしたが、商学分野の発展にともない、1957年に経済学部から独立する形で商学部が開設されました。このような歴史的経緯から、商業学、経営学、会計学など、商学部独自の商学分野については、商学部の教員が皆さんの指導にあたっています。

商学部が通信教育課程の皆さんに提供する商学系科目は、企業やその内部組織、あるいは経営者や社員、消費者などの人間という単位に注目して経済現象を分析する分野が中心です。経済現象を扱うという点では経済学系の科目と共通していますが、企業や個人というマイクロな主体の行動に注目するのが商学系科目の特徴ということになるでしょう。また、授業科目のみならず、商学に関わるテーマで卒論を執筆する場合には商学部の教員が指導に当たります。

商学部は、福澤諭吉の実学の精神を商学の分野において継承し、社会の変革に対応して、つねに新鮮で活力のある学部であることを目指しています。ここで言う「実学」とは、実践にすぐに役に立つという意味ではなく、理論的、実証的分析に基づいて現実社会の解明を目指す学問です。通信教育部で学ぶ皆さんには、授業や卒論指導などの機会を通じて商学独自の視角や分析方法に触れることで、経済・産業・企業活動についてより広く深い問題意識を育んで頂きたいと考えています。

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