文学部

とらわれのない眼で
人間を探求する

文学部のご紹介

文学部を定義するのは容易ではありません。同じ人文科学系列の経済学部・商学部・法学部の場合は、その名称が学部の対象とする領域を端的にあらわしていてまぎれがないのに対し、文学部は大いに異なります。

数ある大学の文学部の中には、じっさいに文学系統の学科しか設置していないところもあります。
しかし、慶應義塾大学の文学部の及ぶ範囲はたいへん広く、人文科学のすべての領域をカバーしています。そこでは人間社会の機構や機能を含め、人間そのものの探究を究極の目標として、様々な研究と教育が行われています。
具体的には、哲学、歴史、文学、図書館・情報学、社会学、心理学、教育学、人間科学です。
人類史的なスケールで社会集団としての人間の様態をとらえる試みから個人としての芸術的な営みを理解することまで、多角的に人間を研究しようとしています。

ますます速度を高めつある技術革新、世界観と価値観の多様化とめまぐるしい変質、人間が順応しきれないほどいちじるしい環境と状況の変化。これらの現象はいずれも現代だけにかぎったことではありませんが、われわれは一種の危機と混迷の時代に生きているという実感を払いのけるわけにいきません。

人間性の喪失、集団における個人の埋没などが深刻な問題として意識されるようになって久しく時が経ちました。
しかし、それらの問題が解決どころか、むしろ逆の方向に進んでいくかにみえる時代だからこそ、人間の探究はいっそう必要性を増しています。

文学部で学ぶことが、ただちに問題の解決につながるわけではないかもしれません。しかし問題のありかを見出し、直視し、分析する営みの意義は大きいでしょう。もちろん、一個人がたずさわることのできる専門分野そのものは狭く限られざるをえませんが、はじめから視野を狭くする必要もありません。それどころか、人間につきまとう固定観念を一度打ち破ろうとする気構えが肝要であり、それはおよそ学問をしようとする者の必須の条件となります。
この点、慶應義塾大学の文学部が数多くの専攻分野をもち、それに見合って多様な学科目を提供できる態勢にあることは、積極的に視野を広げようと願う学生にとってよろこばしいことでしょう。

以上に加えて、文学部が教育職員免許法に定められた教職資格の取得に大きな貢献をしてきたことも忘れてはなりません。 有能な教育者をこれまでに多数生み出しえたことを文学部は誇りとし、この良き伝統が維持されることを願っています。

※出願にあたって

学部紹介で案内したとおり、文学部は哲学を主とする第1類、史学を主とする第2類、文学を主とする第3類の3つに分かれています。
出願に際しては、このいずれかの類を決めて出願の手続きをとらなければなりません。
また、通学課程とは異なり、他の類の科目も幅広く履修する必要があります。
どの類に所属していても開講科目一覧に掲げる科目の履修は可能です。類を決める上で大切なのが、特に関心のある学問領域を考慮することであるのは言うまでもありません。現在の自分の置かれている環境、将来の目的までもよく考えて慎重に決めてください。
卒業論文は自分の所属する類の科目に関連のあるものでなければなりません。自分の所属する類をいったん決定した以上は、途中で変更することなく、最後までやり遂げてほしいと思います。

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