教員紹介 深井忠

商学部教授
深井 忠

商学部教授
深井 忠

監査法人という一般の方にはあまりなじみのないところで、約三十年にわたって会計監査の実務に携わってきました。その後、縁あって慶應義塾からお誘いを受け、二〇一二年度から本学商学部に就任させて頂きました。そのため、研究者と言うには多少憚れるものがありますが、それでも監査法人勤務中に、東北大学の会計大学院や会計基準を設定する機関に出向する機会を得、また某大学院博士後期課程にまで進学した経験から多少ともアカデミズムには接して参りました。

このようなバックグラウンドから、私の専門分野は財務会計が中心です。それは、一般には簿記や財務諸表の作成方法と想像されるかもしれません。少なくとも実務ではそうした内容を扱っています(と言っても、最近の会計基準は複雑極まりなく、算定された利益が本当に会社の業績を表しているか疑問視される場面も少なくありません)。

他方、財務会計の学術的な研究は、計算の仕組みそのものよりもむしろ、利害関係者に伝達された財務情報が、彼らの意思決定にどのような影響を与えるか、どのように役立っているかをリサーチすることに主眼がおかれています。リサーチ方法も専ら実証研究が中心で、例えば計量経済学を駆使して、ある会計情報が株価とどの程度有意な相関があるかを検証しています。実務から転身してきた者にとっては敷居が高く、少しずつ技法を修得しようと努めていますが、前途遼遠の感が否めません。ただ、実務家からの直感からは、ある要因以外の要因をコントロールして株価との相関を見ると言っても、本当にコントロールできているのかはよくわかりません。今後さらに検討を続けようと思います。

さて、通信教育部の関係で言えば、二〇一三年十月から学務委員を仰せつかり、また『三色旗』編集委員を務めさせていただいております。現在のところ後者の仕事としては、新しく赴任された先生の紹介や論文指導でご苦労された先生方の体験談を『三色旗』にご執筆して頂くよう依頼するという地味なものですが、各先生方の体験談は私も参考としたいところです。

また、私自身も通信教育部の卒論指導を二件ほど担当させて頂いております。まだ始まったばかりで、どのように展開していくかは不透明ですが、何を主張したいのかが明快であること、主張内容に独自性があること、主張の根拠や論理展開に矛盾がないことといったごく当たり前の要件を満たしていれば、主張の内容自体は本人の自由に任せようと考えています。少なくとも私個人の見解を押し付けることだけは回避しなければなりません。

学生諸君には艱難辛苦の末に卒論を成し遂げ、無上の達成感を味わってもらいたいと切に願います。

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