教員コラム一覧
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巻頭言 経済学部
羅典区(カルティエ・ラタン)の春
初めてフランスで住んだ土地はヴェルサイユだった。ルイ十四世が造らせた有名な宮殿と広大な庭園の周りに余り背の高くない住宅が道沿いに並んで建っている。
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商学部 巻頭言
民主主義の根幹は学問にある
二〇一六年は〝選挙〞の年だった。七月には参議院選挙と東京都知事選挙があった。世界に目を転じると、六月にイギリスでEU離脱をめぐる国民投票があり、十二月にはアメリカ大統領選挙の結果が明らかとなる。
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巻頭言 法学部
静かな八月の日々を求めて
バーバラ・タックマンの『八月の砲声』という著書をご存じだろうか。タックマンは、二十世紀のアメリカを代表する著名な女性ジャーナリストで、一九六二年に刊行した本書でピューリッツァー賞を受賞している。
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巻頭言 文学部
『秋田文学』と小国敬二郎
十月号だから「秋」田文学、という安易な発想ではない。〈あきたこまち〉や大潟村の無農薬・減農薬栽培でも有名な秋田のおいしいお米は、十月にはそろそろ食卓にのぼるはずで、十月はまさに〈秋田〉を語るにふさわしい月であろう。
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巻頭言 文学部
本能寺の変とキリシタン教会
六月といえば、戦国時時代には有名な大事件が起きている。本能寺の変である。天正十年六月二日(一五八二年六月二十一日)未明、明智光秀が主君の織田信長を投宿中の京都本能寺に討った。
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巻頭言 経済学部
貴重書を使った授業
昨年の四月から、『国富論』で有名なアダム・スミスの『道徳感情論』を原書で読む、という授業(通学課程)を始めました。参加している学生に一文ずつ読んで訳してもらい、分かりにくいところは全員で議論するという授業です。
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巻頭言 法学部
雪池忌に想う
二月三日は、福澤先生のご命日(雪池忌)である。この二月三日になるといつも想うのは、私の専門である会社法であれ保険法であれ、もし福澤先生がいらっしゃらなければ、このような学問も制度も今のような形では存在しえなかったのではないかとの畏敬の念である。
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商学部 巻頭言
クリスマス気分の中での反時代的考察
十二月に入るとすっかりクリスマス気分になって、電飾で華やかに彩られた街並みに、心が浮き立つことも多いのではないだろうか。イエス・キリストの生誕祭であるクリスマスは、ローマ時代後期に太陽神ミトラスの祭典と重ねる形で定まったとされる。
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巻頭言 文学部
秋の七草
「ちかまさり」という古いことばがある。離れて眺めているよりも、近づけば近づくほど美しくみえる女性のよさをいう。こまやかなものに美をみつめる日本人のまなざしは、想像以上に古い時代からのもののようだ。
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巻頭言 法学部
八月のモスクワ
一九九〇年代初めから二〇年ほど、かなり頻繁にロシアを訪問した。ソ連崩壊後に利用が可能となった歴史文書を読むためである。
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巻頭言 文学部
忘れられた記念日
元旦から十二月二十三日の天皇誕生日まで、法律によって定められている国民の祝日は、現在年間十五日になる。来年からは、八月十一日に「山の日」が加わるので、六月だけが日曜以外に休日のない月として取り残されてしまうことになる。
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巻頭言 経済学部
四月に思い出すこと
四月というと、学生時代の卒論テーマ発表の頃のことを思い出す。千葉県小櫃川流域で地形や地質を調べるということは決めたものの、研究の目的が漠然としていたためゼミでは防戦一方であった。
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巻頭言 法学部
夢いつまでも
もう二〇年も前の話になるが、平成五年一〇月から二年間、私は慶應義塾大学の通信教育部長を務めた。
その折、四月の入学式で新入生に向けて話したのが、「夢いつまでも」という言葉だった。